書評2つ:神話と史実の相関に絡んで
年末に写真をアップしたのをやっと読了しました。どれも面白かったのですが、関連ある2冊を紹介
(金子常規 1982年 原書房刊の文庫化)
(2013年 新潮社刊の文庫化)
「兵器と戦術の日本史」は自衛官の著ということで、武器の発生した弥生時代から太平洋戦争まで、通史として面白く読めます。
「姫神の来歴」は、おそらく学術的な研究者には論証がどうこうと言われるのでしょうけど、神社の縁起等も辿りつつ、想像力たくましく、古事記・日本書紀の記述と、中国の歴史書の記述とを繋げて、日本の古代の歴史を語ってくれます。神に異名が多いのを逆手に取ったかのようにいろいろな神様が同定されていきます。その仮説が楽しいので、ネタバレになるのでここには書きませんが。
それで、「兵器と戦術の日本史」にも、古事記・日本書紀の神々の使用武器での時代考証があり、こういった切り口があるのかと感心させられました。
ネタバレにならない範囲で書いておくと、二書の見解は近いところがあります。
倭国大乱の争いが歴史書に書かれているわけで、これが日本で神話化されたのが、アマテラスとスサノオの争いという物語・出雲系の大国主命を代表する国つ神(青銅系文化)が鉄器を携えた勢力に敗れた歴史に比定されていきます。
そして、アマテラスとスサノオは姉と弟とされていますが、別系統の対立する部族系統と説明されていきます。
想像力をかきたてられる面白い考察でした。